人生の門

長く闇に漂う暗い洞窟を抜けた、そして、そこには大きな岩に閉ざされた道があった。どことなく溜息が漏れる人影を見た、人生とはその影を歩くようなものだと淳平は感じるのである。遠く長い道を歩いた疲労が肩先に崩れるかのように重くのしかかる、平坦な道ではなかった、だがそれが人生の本質なのであろう。「夢と起き夢と消えゆる我が身かな、浪速の事は夢の夢」、遊病者のごとく意味のない道を来た、風に向け木立の揺れをも見た、そこには必然性しか舞っていなかった。